指導員が教える!トレーラー運転手が習慣化するべき安全の為の行動と思考

トレーラーに挑戦

はじめに

こんにちは。私は現役のトレーラー運転手として毎日無事故を継続して走りながら、現在は新人や事故惹起者への指導員も務めています。

長年この業界で働き、多くの新人を指導してきた中で気づいたことがあります。それは、事故を起こす人と起こさない人の違いは、運転技術の差ではないということです。

もちろん技術も大切ですが、それ以上に重要なのが「安全の為の行動と思考の習慣」です。私は指導の際、必ず技術うんぬんの前に、まずは安全な行動と思考の習慣を身につけてもらうことを最重視しています。

今回は、私が実際に指導で伝えている「5つの安全思考」をお伝えします。これからトレーラー運転手を目指す方、すでに働いているが改めて基本を見直したい方、ぜひ最後まで読んでください。

なぜ「安全思考」が技術より重要なのか

「運転がうまい人」と「事故を起こさない人」は、実は別物です。

私がこれまで指導してきた中で、技術的には優秀でも事故を起こしてしまう人を何人も見てきました。逆に、技術はまだまだでも、安全思考がしっかりしている人は着実に成長し、結果的に事故を起こしません。

なぜなら、技術は経験とともに必ず向上しますが、思考習慣は最初に身につけたものが基盤となるからです。悪い癖がついてから修正するのは非常に困難。だからこそ、最初から正しい安全思考を習慣化することが何より重要なのです。

【習慣は第二の天性なり】

私の好きな言葉です。
安全な行動と思考を習慣化出来た人は運転のセンスに恵まれた天才達よりも、確実に事故を起こす確率は低く、会社も「技術に優れた天才」よりも「安全思考が身についている事故を起こさない人」を求めています。

それでは、具体的な5つの安全思考をご紹介します。

① 1日の始まりは「確認」から始める

始業時、出発前に1日の運行スケジュールと伝票類の確認

多くの新人が軽視しがちなのが、この「始業時の確認作業」です。
しかし私は「準備8割、実行2割」だと考えています。

1日の運行スケジュールと伝票類の確認は、単なる事務作業ではありません。これはその日1日を安全に過ごすための戦略立てなのです。

具体的にチェックすべきポイント:

  • 配送先の住所と到着時間の確認
  • 荷物の種類と重量
  • 通行予定ルートの道路状況
  • 天候や交通規制の情報
  • 車両の点検

この確認作業を怠ると、現場で慌てることになります。慌てた状態での運転は事故の元。時間に余裕を持って1日をスタートできるかどうかは、この最初の確認にかかっています。

「面倒くさい」と思う気持ちも分かりますが、この習慣があなたの身を守り、プロとしての信頼を築く基盤になるのです。

② 「一周確認」を習慣化せよ

車両を一周し目視で安全確認する重要性

私が指導で最も厳しくチェックするのが、この「一周確認」です。

以下のタイミングでは必ず実施してください:

  • トラクタ(ヘッド)と荷台の連結・切り離し時
  • 荷役作業や休憩を終了し出発する時
  • バック時(特に重要)

なぜここまで徹底するのか。それは、目視でしか発見できない危険が必ずあるからです。

ミラーやモニターでは死角があります。特にトレーラーは車両が長く、予想以上に見えない部分が多いのが現実。歩行者、自転車、障害物、他の車両との距離感など、自分の目で直接確認することで初めて分かることがあります。

「ベテランになったら省略してもいいんじゃない?」

これは大きな間違いです。むしろベテランほど慣れによる油断が生まれやすく、この基本動作を怠りがちになります。私自身、何年経っても必ずこの確認を行っています。

『10数秒の確認が、一生の後悔を防ぐ』これを忘れないでください。

③ 「自分は凡人」だと受け入れる

謙虚さが上達と安全への第一歩

指導をしていて感じるのは、プライドが高い人ほど事故を起こしやすいということです。

「自分は運転がうまい」「このくらいは大丈夫」「他の人よりできている」

このような思い込みは非常に危険です。なぜなら、過信は注意力の低下を招き、基本的な安全行動を軽視する原因となるからです。

私は新人指導の際、必ずこう伝えます:

「最初は皆下手くそ、自分は天才などではなく凡人だと受け入れてください」

これは決してネガティブな意味ではありません。自分を凡人だと認識することで:

  • 基本動作を大切にするようになる
  • 慎重さが身につく
  • 継続的な学習意欲が生まれる
  • 他者のアドバイスを素直に受け入れられる

実際、この謙虚な姿勢を持った人ほど、結果的に早く上達し、長期間無事故を継続しています。

プロとしての第一歩は、「自分はまだまだ」という謙虚な気持ちから始まるのです。

④ 感情をコントロールし、タスクに集中する

怒りや焦りが判断力を奪う

トレーラー運転手として働いていると、様々なストレス要因に遭遇します:

  • うまく駐車できない自分への苛立ち
  • 横着な運転をする一般車両
  • 邪魔な位置に停車している車両
  • 予期しないトラブルや渋滞

こんな時、感情的になってしまう気持ちは良く分かります。しかし、感情のコントロールができるかどうかが、プロと素人の分かれ目です。

私が指導で重視する「思考の切り替え術」

うまく出来なかった時: 腹を立てたりふてくされるのではなく、「何が悪かったのか、次どうするか」を考える

他車や障害物にイライラした時: 腹を立てるのではなく、「その状況で安全のために自分に何ができるか」を考える

結果や他者の行動に振り回された時: 自分ではコントロールできない外的要因をいちいち気にせず、「今の自分にできる最善のパフォーマンス」で仕事を遂行することに焦点を当てる(タスクフォーカス)

なぜこの思考法が重要なのか

怒りや焦りといった負の感情は、科学的にも判断力と注意力を著しく低下させることが証明されています。特に大型車両の運転では、一瞬の判断ミスが重大事故につながる可能性があります。

「今、自分にできることは何か?」

この問いかけを習慣化することで、どんな状況でも冷静さを保ち、最適な判断ができるようになります。これこそが、真のプロフェッショナルの条件です。

それでもイライラする時は…

それでもムカつくものはムカつく。その気持ちよ~く分かります。

そんな時は「イラついた時のルーティン」を決めておくのがおすすめです。
かわいい猫ちゃんの事を考えるとか、世界を滅ぼす妄想をするとか…とにかく気が紛れれば何でもOKです。

ちなみに私のイラついた時のルーティンですが…
アナゴさんのモノマネをしながら「ブルァァァァァァァ!!!!!!ぶぅぅぅぅちコ〇すぞフグタくぅぅぅぅん!!!!!!」って車内でひとりで叫びます。結構気が紛れます(笑)

⑤ 「無事」は最大の報酬だと知る

「今日も無事に帰ってこれた」は当たり前ではない

最後に、私が最も大切にしている考え方をお伝えします。

「今日も無事に帰ってこれた」は当たり前のことではありません。

毎日何千台何万台もの大型車両が道路を走り、様々なリスクと隣り合わせで仕事をしています。その中で無事故で1日を終えられるのは、決して簡単な事ではありません。

「無事」を継続するために必要なもの

  • 常に運転技術を鍛える努力
  • 自分に足りない技術や思考を補う学習
  • 体調や車両を適切に管理する責任感
  • 常に危険を先回りして対策する思考
  • その上でまた確認を怠らない徹底性

これらの行動や思考を毎日欠かさず実践し、習慣化できた者だけが得られる最大の報酬。それが「無事」なのです。

プロとしての誇り

スムーズなバックやSNSウケしそうな神業テクニックも大切かもしれませんが、それ以上に価値のあるものが「無事故の継続」です。

  • 家族が安心して送り出してくれる
  • 会社からの厚い信頼を得られる
  • 自分自身に自信と誇りを持てる
  • 業界全体のイメージ向上に貢献できる

これこそが、トレーラー運転手としての真の成功だと私は考えています。

まとめ:明日から実践できる安全思考

今回お伝えした5つの安全思考を、改めてまとめます:

  1. 確認から始める – 1日の運行スケジュールと伝票類の確認を徹底する
  2. 一周確認を習慣化 – 目視による安全確認を絶対に省略しない
  3. 謙虚さを持つ – 自分は凡人だと受け入れ、基本を大切にする
  4. 感情をコントロール – タスクフォーカスで冷静な判断を保つ
  5. 無事を最優先 – 「当たり前ではない無事」を意識し続ける

明日からできる具体的なステップ:

  • 始業時のチェックリストを作成する
  • 一周確認のタイミングをメモに書き出す
  • 感情的になった時のルーティンを準備する
  • 1日の終わりに「今日も無事だった」ことに感謝する

これらの習慣化には時間がかかるかもしれません。しかし、継続することで必ずあなたの安全と成長につながります。

「確認作業なんて面倒だし金にならんし」と言った考えを耳にした事があります。
でも考えてみてください。

確認は無事を生み、無事の継続は信頼になり、信頼は昇進や昇給に繋がります。
つまりその面倒な確認作業はいずれ金になるんです。

行動と思考を習慣化するのにお金はかかりません。元手ゼロでお金を生み出せるのならやってみる価値はあるのではないでしょうか。

トレーラー運転手への転職をお考えの方へ

この記事を読んで「トレーラー運転手として働いてみたい」と思われた方もいるかもしれません。

トレーラー運転手は確かに責任の重い仕事ですが、正しい安全思考を身につければ、やりがいのある素晴らしい職業です。

現在、運送業界では人材不足が深刻化しており、しっかりとした安全意識を持った運転手のニーズは非常に高まっています。

トレーラー運転手への転職を本気で考えている方は、運転手専門の転職サイトや転職エージェントの活用をおすすめします。

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安全第一の考え方を持ったあなたなら、きっと素晴らしいトレーラー運転手になれるはずです。まずは情報収集から始めてみてください。
あなたの成功を心から応援しています。


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良かったらご活用ください。

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ひろかず

ひろかず/トラックドライバー歴13年/現在大型トレーラー運転手&新人教育担当
未経験からトラック業界に飛び込み、現在は大型トレーラー運転手として勤務中。
これまでに延べ10名以上の新人ドライバー教育にも従事。
現場のリアルな情報や経験をもとに、初心者に寄り添ったブログ運営を心がけています。

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