「トラック運転手になりたいけれど、AI自動運転が普及したら仕事がなくなってしまうのかな…」
なんて考えた事、ありませんか?
将来への不安は誰もが抱くものですし、特に人生の大きな選択をするときは心配になりますよね。
僕は現役のトラック運転手として10年以上この業界で働いていますが、トラック運転手の仕事がAIに完全に奪われるのは、本当に何十年も先の話だと考えています。
今、物流業界は深刻な人手不足で困っています。AI技術が発達して仕事の一部が楽になることはあっても、10年や20年で運転手がいらなくなることは絶対にありません。
この記事では、現場で働いている僕だからこそお話しできるトラック運転手の本当の仕事内容や、AI技術の実際のところ、そしてこの仕事の将来性についてわかりやすくお話しします。あなたの不安な気持ちが少しでも軽くなって安心してこの道を選んでいただけるよう、正直な想いをお伝えします。

「10年以内に運転手の仕事はAIに奪われる」とか言う人はこの業界の現場の事を何も知らない人なので、気にしなくて大丈夫ですよ。それでは解説していきましょう!
トラック運転手の仕事の現実
「トラック運転手って、ただ運転するだけでしょ?」そう思われている方も多いかもしれませんね。でも実際に働いてみると、運転はお仕事の一部でしかないんです。僕も最初はそう思っていましたが、10年以上続けてきて、この仕事の奥深さを感じています。
運転以外の大切なお仕事
僕たちの1日は実は運転以外の仕事でほとんどが埋まっているんです。配送先での荷物の積み下ろし作業一つとっても、単純な力仕事ではありません。
お客様の大切な荷物を傷つけることなく安全に納品するための、とても専門的な仕事なんです。
例えば、精密機器を運ぶときは、振動や衝撃を極力抑えなければいけません。冷凍食品なら温度管理が命ですし、食品配送では賞味期限の確認も欠かせません。建材を運ぶときは、寸法や重量・荷物の重心なんかもチェックします。それぞれの荷物に合わせた知識と技術が必要で、とてもやりがいのある仕事です。
お客様とのコミュニケーションも、僕たちにとって大切なお仕事の一つです。配送時間の調整をしたり、荷物をお渡しするときに確認をしたり、時には配送先の担当者の方と「どこに置けばいいですか?」なんて相談することもあります。こうした人と人とのやり取りは、とても温かくてこの仕事の魅力の一つだと感じています。
車両の点検やメンテナンスも、僕たち運転手の大切な責任です。タイヤの状態は大丈夫か、ブレーキはしっかり効くか、エンジンオイルは足りているか…。安全にお届けするための点検は、長年の経験があってこそできる判断が求められます。マニュアル通りにいかないことも多くて、「これは経験がものを言うな」と感じる場面がたくさんあります。
現場で大切な判断力
10年間この仕事を続けてきて、一番実感するのは「判断力」がとても大切だということです。
例えば、狭い住宅街への配送。カーナビが教えてくれる道が、必ずしも大型トラックで通れるとは限らりません。
道の幅は大丈夫か、橋の重量制限は問題ないか、電線の高さは十分か、そして近所の方々にご迷惑をおかけしないか…。いろんなことを考えながらルートを選ぶ必要があります。僕も過去に、カーナビを信じて進んだら身動きが取れなくなりそうになって、冷や汗をかいたことが何度もあります。
天気が悪い日や交通渋滞の時もその場その場で判断が必要です。大雪の日はいつものルートが使えなくて、安全を一番に考えて別の道を選びます。台風や異常気象の時は配送スケジュール自体を見直して会社に相談し指示を仰ぎます。
こうした判断は、現場の状況をしっかり把握している僕たち人間だからこそできることだと思います。
配送先でちょっとしたトラブルが起きることもよくあります。荷物に小さな傷を見つけたり、駐車場所で困ったり、どの列に並べばいいか分からなかったり…。予想していなかった事態にどう対応するか、これも経験がとても大切です。

あと10年や20年でこれら全ての仕事をAIやロボットが出来るようになるとは思えません。「やれるものならやってみろ」と言うのが正直な所です。
AI自動運転の現状と限界
ニュースなどでAI自動運転のことをよく見聞きしますが実際のところはどうなのか、現場で働いている私の目から見た現状をお話ししますね。
思っているほど進んでいないのが実情で、まだまだ課題がたくさんあるんです。
自動運転技術の今の状況
今実際に使われている自動運転技術は主に高速道路での運転をサポートしてくれるシステムです。
確かに便利で助かる機能ですが、これはあくまで「運転のお手伝い」であって完全に人間がいなくても大丈夫な自動運転ではありません。
よく「レベル4」と呼ばれる高度な自動運転の開発も進んでいますが、実際に使われているのは決まった道を低い速度で走るバスや物流センターの中だけで動く無人の車など、とても限られた条件下でのみです。私たちが普段走っている一般道で大型トラックが完全自動運転で走るなんて、技術的にも法律的にもまだまだ先の話なんです。
一般道のことを考えてみてください。歩行者の方や自転車の方が急に飛び出してくることもありますし、工事で車線が変わっていることもあります。救急車が来たときはすぐに道を譲らなければいけません。
AIがこうした全ての場面で、瞬時に正しい判断をするのは、現在の技術ではとても難しいことなんです。
AIが苦手な場面
AI技術が一番苦手とするのは「複雑で予想がつかない状況」だということです。
建設現場への配送を例にお話ししますね。工事現場は毎日状況が変わります。昨日は通れた道が、今日は重機で塞がれているなんてことは日常茶飯事です。現場監督さんや作業員の方とお話しして、「今日はどこに荷物を置けばいいですか?」「何時頃なら邪魔になりませんか?」なんて相談しながら、一番良い方法を見つけていく必要があります。これは、AIにはとても難しいお仕事だと思います。
住宅街の狭い道での配送も同じです。対向車の方と「お先にどうぞ」「ありがとうございます」なんてやり取りをしたり、近所の方々にご迷惑をおかけしないよう気を遣ったり、お子さんやご年配の方の安全を第一に考えたり…。人の気持ちや社会のルールを理解した上での判断が必要です。配送先のおばあちゃんに「いつもありがとうね」なんて声をかけていただくこともあって、こうした心温まるやり取りは、AIには絶対に真似できないと思います。
実は現在のAI技術は、「運転手の負担を軽くする」ことを一番の目標として開発されているんです。完全に人間の代わりをすることよりも、疲れを軽くしたり、より安全に運転できるようにしたりすることが、現実的な目標なんです。
なぜトラック運転手の仕事は簡単になくならないのか
現場で働いている僕が確信しているのは、トラック運転手の仕事がAIに完全に置き換わるにはまだまだたくさんの課題があるということです。不安な気持ちはよくわかりますが、現実はそう簡単ではないんです。
技術的な課題
まず、どんな天気でも対応できるかという問題があります。私は雪の日も、雨の日も、強い風の日も運転してきましたが、こうした悪天候の中でAIが人間と同じような判断をするのは、本当に難しいことです。
というより今の技術では不可能です。
特に雪道の運転は、路面の状況をほんの少しの違いで感じ取りながら運転する必要があります。「あ、ここは凍ってるな」「この辺りはまだ大丈夫そう」といった判断や、チェーンをいつ付けるか、吹雪で前が見えない時にどうするか、アクセルの踏み方、適切なギアの選択など、経験から来る直感的な判断がとても大切になります。
これは人間なら経験を積めば誰でもなんとなくの感覚で分かるようになります。(本当です!)
道路の設備を整えることも大きな課題です。自動運転を実現するには道路全体をデジタル化する必要がありますが、これには本当にたくさんの時間とお金がかかります。
僕が配送で使う地方の道路には、まだ舗装があまり良くないところや道路標識が古いままのところもたくさんあります。
お金の面でも現実的な問題があります。完全自動運転のトラックを作って普及させるには、とてもたくさんのお金がかかります。特に中小の運送会社にとって、この最初の投資はとても大きな負担になってしまいます。
社会や経済の事情
「2024年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。働き方が変わったことで、運送業界は本当に深刻な人手不足になっているんです。これは僕も現場で毎日感じていることで、運転手仲間の中にも労働時間の制限で収入が減ってしまった人がたくさんいます。
この人手不足はすぐには解決しそうにありません。むしろ当面の間は私たち人間の運転手への需要がどんどん高まっていく状況です。完全自動化を待つよりも、まずは人を確保することの方が業界にとって急務なんです。
法律や安全の基準も高いハードルがあります。もし自動運転のトラックが事故を起こしてしまった場合、誰が責任を取るのか、保険はどうするのか、緊急事態にはどう対応するのかなど、解決しなければいけない法律的な課題がたくさんあります。これらを整えるには、技術を開発すること以上に時間がかかりそうです。
現場で働く僕の実感
この十数年間で実際に感じた技術の変化を振り返ってみると、確かにカーナビの性能は良くなりましたし、ドライブレコーダーも進歩しました。積み場降ろし場でも受付がデジタル化し便利になった所もたくさんあります。
でも、運転や配送の基本的なお仕事の本質は、全然変わっていないんです。
部分的に自動化が進んで仕事の内容は変わってきていますが、それは「楽になった」という意味での変化です。例えば、バックモニターが良くなって駐車しやすくなったり、燃費計が正確になって効率的な運転ができるようになったり。でも、これらは私たち運転手がいらなくなるものではなくて、むしろ僕たちの能力を高めてくれるツールとして働いてくれています。
現実的に考えて、完全自動化まで「どのくらい時間がかかるか」という点では、私の経験から言うと少なくとも30年以上はかかると思います。技術を開発して、道路を整備して、法律を作って、社会の皆さんに受け入れてもらって…。すべてが整うまでには、本当に長い時間が必要だと思います。
AI時代のトラック運転手の将来性
AI技術が発達することで、私たちトラック運転手の仕事がなくなってしまうのではなく、むしろ仕事の質が向上するんじゃないかと僕は考えています。
AIと一緒に働くことで変わる仕事
今でもすでに実用化されている運転支援システムは、僕たちの負担をとても軽くしてくれています。衝突を避けてくれるシステムや、車線からはみ出さないようにサポートしてくれる機能、疲れているときに教えてくれるシステムなど、これらの技術のおかげで安全性が向上して長時間の運転による疲れも軽くなっています。
これからはきっと、もっと高度な物流管理のスキルが大切になってくると思います。AI技術で配送ルートを最適化したり燃費を管理したりすることが自動化される一方で、私たち運転手には物流システム全体を理解して、より効率よく働く能力が求められるようになるでしょう。
お客様へのサービス面での工夫も大切になってきます。AIには真似できない「人間らしい温かいサービス」を提供できる運転手は、きっともっと高く評価されるようになると思います。
これから始める方へのアドバイス
これからトラック運転手を目指そうと考えているあなたに、現場で働いて10年以上になる私から心を込めてアドバイスをお伝えしますね。
まず、10~20年は安定した需要が見込める理由として、先ほどお話しした人手不足の問題、技術的な課題、社会の受け入れの問題があります。
特に地方への配送、特別な荷物の輸送、お客様との細かなやり取りが必要な配送などは、私たち人間の運転手でなければ対応が難しい分野です。
価値を高めるスキルアップの方法としては、まず基本的な運転技術をしっかりと身につけることが大切です。そして、フォークリフトの免許や危険物を扱う資格、けん引免許などを取得することで、対応できる仕事の幅を広げることをおすすめします。
接客スキルやコミュニケーション能力を向上させることも、とても大切です。配送は単なる物の運搬ではなく、サービス業の側面もあることを理解してお客様に喜んでいただける努力を続けることで、AIに代替されにくい価値のある運転手になれます。
将来を見据えた準備として、新しい技術に対する興味と学ぶ意欲を持ち続けることも大切ですね。AI技術を敵だと思うのではなく、それを活用して自分の仕事をもっと効率的に、もっと価値の高いものにしていく姿勢が大切だと思います。
まとめ
現役トラック運転手として10年以上の経験を積んできた私から不安を抱えているあなたにお伝えしたいのは、AIによる完全な代替は現実的に数十年先のことで、今からトラック運転手を目指しても十分に将来性があるということです。
私たち運転手の仕事は運転だけでなく、荷物の管理、お客様への対応、その場その場での臨機応変な判断など、AI技術では代替が難しい要素がたくさん含まれています。現在のAI技術の進歩で仕事の一部が楽になることはあっても、10年や20年で運転手が完全にいらなくなることは、現実的に考えてありません。
むしろ深刻な人手不足が続いている運送業界では、優秀な運転手への需要はますます高まっています。AI技術を恐れるのではなく、それを上手に活用してより価値の高いサービスを提供できる運転手を目指すことで、長期的に安定したキャリアを築くことができると思います。

もしあなたがトラック運転手という職業に興味を持っているなら、どうか前向きに検討してみてください。
あなたの挑戦を心から歓迎します。一緒に頑張りましょう!

最後に
この記事は「トラックドライバーに興味があるけど将来性はあるのか…」と言った不安を抱える方に向けて背中を押す意図で書いた記事であり、決してAI・ロボット技術を蔑むものではありません。
AI・ロボット技術はこれからの時代、我々人間の生活をより豊かにより便利にするために必要不可欠なものであり、その為に日々尽力されている方々に敬意を表します。
人間ならではの経験や感覚、AI・ロボットならではの技術や正確性、双方の良い所が上手くかみあい運送業がより発展していくことを願っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
またお会いしましょう!
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