「また2時間も待たされた…」「荷待ち時間がもう少し短ければ、もっと早く帰れるのに…」
多くのトラックドライバーが日々直面している荷待ち時間の問題。この問題は単にドライバー個人の悩みではなく、物流業界全体の構造的な課題となっています。

僕も割とせっかちな性格なのでこの”待ち時間”というものが好きではありません
本記事では、トラックドライバーの荷待ち時間の実態を最新データとともに詳しく解説し、業界が抱える深刻な課題と今後の改善への取り組みについて包括的にお伝えします。
1. トラックドライバーの荷待ち時間とは?基本的な定義と仕組み
荷待ち時間の定義
荷待ち時間とは、トラックドライバーが荷主の施設や物流センターに到着してから、実際に荷積み・荷降ろし作業が開始されるまでの待機時間のことを指します。この時間は労働時間に含まれるものの、多くの場合、運賃には反映されていないのが現状です。
荷積み・荷降ろしの流れ
一般的な荷積み・荷降ろしの流れは以下のようになります:
- 指定された時間に配送先に到着
- 受付での手続き・書類確認
- 荷積み・荷降ろし場所への移動指示待ち
- 実際の荷積み・荷降ろし作業
- 伝票確認・サイン
この流れの中で、特に2番目と3番目の段階で長時間の待機が発生することが多く、これが荷待ち時間として問題視されています。
待機が発生する主な場面
荷待ち時間が発生する主な場面として、以下のようなケースがあります:
- 朝一番の配送時間帯における納品車両の集中や受け入れ準備の遅れ
- 繁忙期や月末・月初における作業の集中
- 前の配送車両の作業遅延による順番待ち
- システムトラブルや書類不備による手続きの遅延
- 荷主側の人員不足による作業の遅れ
- 手積み・手降ろしによって1台当たりの作業時間が延びる
2. 【最新データ】トラックドライバーの荷待ち時間の実態
業界全体の平均荷待ち時間
国土交通省の調査によると、トラックドライバーの平均荷待ち時間は以下の通りです:
- 平均荷待ち時間:1時間47分
- 荷積み時の平均待機時間:1時間52分
- 荷降ろし時の平均待機時間:1時間42分
これらの数値は、ドライバーの労働時間の約15-20%を占めており、業務効率に大きな影響を与えています。特に注目すべきは、荷待ち時間が2時間を超えるケースが全体の約30%を占めているという事実です。
業種別・地域別の荷待ち時間の違い
業種別に見ると、荷待ち時間には大きな差があります:
業種別平均荷待ち時間
- 食品・飲料:2時間15分
- 建設資材:1時間58分
- 機械・電子部品:1時間35分
- 日用品・雑貨:1時間28分
- 燃料・化学品:1時間12分
食品・飲料業界では、品質管理や検品作業の厳格化により、他業種と比較して荷待ち時間が長くなる傾向があります。
地域別では、首都圏や関西圏などの大都市圏で荷待ち時間が長くなる傾向があり、これは配送先の集中と道路事情の悪化が主な要因となっています。
時間帯・曜日による荷待ち時間の変動
時間帯別の荷待ち時間を見ると、以下のような傾向があります:
- 午前8-10時:2時間25分(最も長い)
- 午前10-12時:1時間45分
- 午後1-3時:1時間30分
- 午後3-5時:1時間52分
- 夜間配送:1時間15分(最も短い)
曜日別では、月曜日と金曜日に荷待ち時間が長くなる傾向があり、これは週明けの業務集中と週末前の駆け込み需要が影響しています。
ただしこれらはあくまで”データ”実際の現場は…
これはあくまで「センター内での待機時間のデータ」です。
中には「電話で呼ぶからそれまで構内に入ってくるな。ただし呼んだらすぐ来れる所にいろ。え?じゃあどこにいればいいか?そんなの知りません」なんて事を平気で言い、「うちは構内待機時間ほぼ0を達成しました!!☆」ってドヤっている荷主もいます。
なので特に食品や飲料系なんかはもっと待たされる所が割と多い印象です。
機材や資材の現場搬入の仕事ももっと待たされる事が多いみたいですね。
3. 荷待ち時間が長くなる主な原因
荷主側の要因
荷主側の要因として、以下のような問題が挙げられます:
受け入れ体制の不備 多くの荷主企業では、配送車両の受け入れ体制が十分に整備されていません。特に、複数の配送業者が同時に到着した場合の対応体制が不十分で、結果的に長時間の待機が発生しています。
繁忙期の集中 月末・月初、決算期、季節商品の納期集中など、特定の時期に配送が集中することで、荷待ち時間が大幅に延長されるケースが多くあります。
時間指定の厳格化 「午前中配送」「時間厳守」といった厳格な時間指定により、ドライバーは指定時間よりも早く到着せざるを得ず、結果として待機時間が発生しています。

↑「ジャストインタイム」なんてカッコつけた事言う会社もありますが、偉い人は何もしていません。実際の現場は運転手の負担になっているだけです。
手積み・手降ろし パレット荷物の荷役作業に比べて1台当たりの作業時間は当然長くなります。その結果全体の流れが悪くなり、いつまで経っても自分の番が来ない運転手が発生します。
物流センター・倉庫側の要因
人員不足 物流業界全体の人手不足により、荷積み・荷降ろし作業を行う作業員が不足しています。これにより、作業開始までの待機時間が長くなっています。
設備・システムの老朽化 古い設備やシステムを使用している物流センターでは、作業効率が悪く、結果として荷待ち時間が長くなる傾向があります。
作業スペースの不足 限られた作業スペースに多くの配送車両が集中することで、順番待ちによる荷待ち時間が発生しています。
交通事情・天候による影響
渋滞の影響 都市部の慢性的な渋滞により、予定通りの時間に到着できないことで、配送スケジュール全体が遅延し、結果として荷待ち時間が延長されています。
天候による遅延 雪や大雨などの悪天候時には、作業の安全性確保のため作業が中断されることがあり、これが荷待ち時間の延長につながっています。
システム・連携不足による問題
情報共有の不備 荷主、物流センター、運送会社間での情報共有が不十分で、配送予定の変更や遅延情報がリアルタイムで共有されていないことが、無駄な待機時間を生んでいます。
予約システムの未整備 多くの配送先では、配送時間の予約システムが整備されておらず、先着順での対応となっているため、荷待ち時間が発生しています。
4. 荷待ち時間がドライバーに与える深刻な影響
労働時間の延長と過労問題
荷待ち時間の増加は、ドライバーの労働時間を大幅に延長させています。1日平均2時間近い荷待ち時間は、本来の運転時間に加算され、結果として以下のような問題を引き起こしています:
長時間労働の常態化 荷待ち時間を含めると、多くのドライバーが1日12-14時間の労働を強いられています。これは法定労働時間を大幅に超える水準であり、慢性的な過労状態を招いています。
休息時間の不足 長時間の荷待ちにより、本来確保すべき休息時間が削られ、安全運転に必要な休息が取れない状況が発生しています。

勘違いしている偉い人も多いようですが、待っている状態では”労働からの完全な解放”とはならないため、決して休憩時間ではありません。
収入への直接的な影響
荷待ち時間は、ドライバーの収入に直接的な悪影響を与えています:
時間当たり収入の低下 荷待ち時間中は基本的に無給であるため、実質的な時間当たり収入が大幅に減少しています。例えば、8時間の運転で20,000円の運賃を得るドライバーの場合、2時間の荷待ち時間があると、実質的な時給は2,500円から2,000円に下がります。
配送回数の制限 長時間の荷待ちにより、1日に回れる配送先の数が制限され、結果として日収や月収の減少につながっています。
残業代の未払い 荷待ち時間が労働時間として適切に計算されないケースが多く、本来支払われるべき残業代が支払われていない問題があります。
精神的ストレスと健康への悪影響
長時間の荷待ちは、ドライバーの精神的・身体的健康に深刻な影響を与えています:
ストレスの蓄積 「いつ呼ばれるかわからない」「次の配送に遅れるかもしれない」という不安により、待機中も精神的な緊張状態が続き、慢性的なストレスが蓄積されています。
健康問題の増加 長時間の待機により、適切な食事時間や休息が取れず、生活習慣病や精神的な不調を訴えるドライバーが増加しています。
家族との時間減少による生活への影響
荷待ち時間の延長は、ドライバーの私生活にも大きな影響を与えています:
家族との時間の減少 予定よりも遅い帰宅により、家族との時間が削られ、家庭生活に支障をきたしています。
プライベート時間の確保困難 不規則な勤務時間により、趣味や自己啓発の時間が確保できず、ワークライフバランスが崩れています。
5. 業界が抱える構造的な課題
荷待ち時間に対する適正な対価の未払い問題
物流業界では、荷待ち時間に対する適正な対価が支払われていないという構造的な問題があります。多くの運送契約では、荷待ち時間は「サービス」として扱われ、追加料金の対象となっていません。これにより、ドライバーの労働に見合った対価が支払われていない状況が続いています。
標準的な荷待ち料金の不在 業界全体で荷待ち時間に対する標準的な料金体系が確立されておらず、運送会社ごとに対応が異なっています。これにより、適正な価格設定が困難になっています。
契約交渉力の格差 運送会社と荷主企業の間には大きな力関係の差があり、運送会社側が荷待ち料金の交渉を行うことが困難な状況があります。
労働環境改善の遅れ
物流業界では、他業界と比較して労働環境の改善が遅れています:
待機施設の不備 多くの配送先では、ドライバーが快適に待機できる施設が整備されておらず、車内での長時間待機を強いられています。
情報提供の不足 荷待ち時間の見込みや作業開始予定時刻などの情報が適切に提供されず、ドライバーは不安な状態で待機を続けています。
ドライバー不足の深刻化
荷待ち時間の問題は、ドライバー不足の深刻化にも拍車をかけています:
新規参入者の減少 長時間労働と低賃金の問題により、若い世代の物流業界への参入が減少しています。
既存ドライバーの離職 劣悪な労働環境により、経験豊富なドライバーの離職が相次いでいます。
物流業界全体の効率化の必要性
荷待ち時間の問題は、日本の物流業界全体の効率化が急務であることを示しています:
サプライチェーン全体の最適化 製造業から小売業まで、サプライチェーン全体での最適化が必要です。
デジタル化の遅れ 他業界と比較して、物流業界のデジタル化が遅れており、効率化の障害となっています。
6. 荷待ち時間短縮に向けた取り組みと今後の展望
政府・行政の規制強化と支援策
政府は荷待ち時間の問題を重要な政策課題として位置づけ、以下のような取り組みを進めています:
荷待ち時間の実態調査と公表 国土交通省では、定期的に荷待ち時間の実態調査を実施し、結果を公表することで、業界全体の意識向上を図っています。
荷待ち時間削減推進協議会の設置 関係業界団体と連携し、荷待ち時間削減に向けた具体的な施策を検討・実施する協議会を設置しています。
補助金制度の創設 荷待ち時間削減のための設備投資や システム導入に対する補助金制度を創設し、企業の取り組みを支援しています。
先進企業の成功事例
一部の先進企業では、荷待ち時間の大幅な短縮に成功しています:
予約システムの導入 大手物流センターでは、配送時間の予約システムを導入し、平均荷待ち時間を従来の2時間から30分に短縮することに成功しています。
AI活用による配送最適化 人工知能を活用した配送ルートの最適化により、荷待ち時間を含む配送時間全体の短縮を実現している企業があります。
荷待ち料金の明確化 一部の運送会社では、荷待ち時間に対する明確な料金体系を確立し、荷主との契約に組み込むことで、適正な対価の確保に成功しています。
デジタル化・システム導入による改善
技術革新による荷待ち時間の短縮が期待されています:
IoT技術の活用 トラックの位置情報や到着予定時刻をリアルタイムで共有するシステムの導入により、効率的な荷受け体制の構築が進んでいます。
自動化設備の導入 荷積み・荷降ろし作業の自動化により、作業時間の短縮と荷待ち時間の削減が期待されています。
クラウドシステムによる情報共有 クラウドベースの配送管理システムにより、荷主、運送会社、ドライバー間での情報共有が円滑化されています。
業界全体での協力体制構築の動き
業界全体での協力体制の構築も進んでいます:
業界団体による自主規制 運送業界団体では、荷待ち時間に関する自主規制やガイドラインの策定を進めています。
荷主企業との協働 一部の荷主企業では、運送会社と協働して荷待ち時間の短縮に取り組む動きが見られます。
標準化の推進 業界標準の荷待ち時間管理システムや料金体系の確立に向けた取り組みが進められています。
7. まとめ:持続可能な物流業界に向けて
トラックドライバーの荷待ち時間問題は、単なる業界内の課題ではなく、日本の物流インフラ全体に関わる重要な問題です。平均1時間47分という荷待ち時間は、ドライバーの労働環境を悪化させ、物流業界全体の効率性を損なっています。
この問題の解決には、以下の取り組みが重要です:
関係者全体での意識改革 荷主企業、物流事業者、行政が一体となって、荷待ち時間の問題を共有し、解決に向けた取り組みを進める必要があります。
技術革新の積極的な活用 IoT、AI、自動化技術などの先進技術を積極的に活用し、物流業界全体の効率化を図ることが重要です。
適正な対価の確保 荷待ち時間に対する適正な対価を確保し、ドライバーの労働に見合った報酬体系を構築する必要があります。
労働環境の改善 ドライバーが安心して働ける環境を整備し、持続可能な物流業界の構築を目指すことが重要です。
荷待ち時間の問題解決は、一朝一夕に実現できるものではありません。しかし、業界全体が協力し、継続的な取り組みを進めることで、必ず改善できる問題です。持続可能な物流業界の実現に向けて、今後も注目していく必要があります。
トラックドライバーの皆さんにとって、より良い労働環境が実現されることを願っています。
我々ドライバーに出来る事
とまぁ上記では無難な事を言ってまとめてみましたが、実際現場に立ちストレスや理不尽と戦う我々に出来る事を考えてみました。
僕はドライバーに寄り添った事しか言うつもりはないので本音を話すと”本腰入れて本気で対策せざるを得ない状況にさせる”=”困らせてやる”と言った大人げない事しか思いつきませんでした。
今は荷主や積み場降ろし場にも「今の状況でとりあえず何とかなっているんだから慌てて改善しなくてもいいや」と言った甘えは実際どこかであると思います。
劣悪な環境からは皆離れて待ち時間の少ない仕事をしている会社に転職し、「今のままではマジでまずい!うちの荷物を運んでくれる人がいなくなる!」と言った状況にしてやらない限り、現状は大して変わらないと思います。
待ち時間すらも楽しめる屈強な精神の持ち主でしたら大丈夫かもしれませんが、もしこの”待ち時間”が耐え難いものであるのなら、転職と言うものもひとつの選択肢だと思います。
僕には運送業界全体を変える力なんてありませんから、せめてこの記事を読んでくださったあなたが楽しくあなたらしく働けるよう力になりたいと思っております。
僕のブログには転職希望者向けの記事をまとめたカテゴリーもありますので、良かったらご活用ください。
トラックドライバー向けの転職サイトのリンクもいくつか貼っておきます。
興味のある方はぜひご覧ください。



最後まで読んで頂きありがとうございました。
またお会いしましょう!
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